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2004年11月27日 (土)

母は強し(「一人息子」)

一人息子(1936)

小津安二郎の初めてのトーキー作品である。
大船日記」によると、その当時は各社すでにサイレントからトーキーに切り替わっており、松竹でも昭和6年からトーキーを作っていたという。
しかし小津監督は昭和10年までサイレントを撮っていた。
当時の小津組のキャメラマン茂原英雄が開発中だった茂原式トーキーが完成するのを待っていたからである。
小津監督はそんな点で義理がたい性格だった。
ということで、この映画では最初にどどーんと晴れがましく「茂原システム」という文字が出てくる。
ちなみに茂原キャメラマンは、この映画で母親役を演じた飯田蝶子の夫だそうだ。

さて「一人息子」は、母が女手一つで育てた一人息子が、学業のために東京に出たが、たいして出世もできず、十数年後に訪ねてみると、役所勤めと聞いていたのが夜学の教師となっており、おまけに無断で結婚して子どもまでいた、という話。

息子は同僚にお金を借りて、母に東京観光させたり、うまいものを食べさせたりと精一杯の歓迎をする。
母は感謝しつつも、愛情ゆえに息子をきびしく叱る。
都会のきびしさに人生をあきらめていた息子も、母の叱咤をうけ、最後には再び発奮すると。
感動しました。

おなじみ笠智衆は、この映画が初めての大役となるそうです。
最初は息子の先生として、進学をすすめる役。
笠の演技が初々しい。少々棒読み気味だ。

この先生も志をもって東京に出る。が、やはり都会では成功できず、後にとんかつ屋の主人となっていた。
くたびれたとんかつ屋として出てきた場面では、さびしげな表情で実にいい味を出している。
笠にとって初のフケ役。
これ以降、フケ役は笠智衆の代名詞となる。
笠智衆が小津映画の常連俳優となったのも、この映画での演技が認められたからだそうだ。

一人息子

1936年 日本

監督:小津安二郎
出演:飯田蝶子、日守新一、葉山正雄、坪内美子、吉川満子、笠智衆、浪花友子、爆弾小僧、突貫小僧

小津安二郎 DVD-BOX 第三集

小津安二郎 DVD-BOX 第三集
※「一人息子」所収

一人息子(ビデオ)

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