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November 2004

Nov 27, 2004

母は強し(「一人息子」)

一人息子(1936)

小津安二郎の初めてのトーキー作品である。
大船日記」によると、その当時は各社すでにサイレントからトーキーに切り替わっており、松竹でも昭和6年からトーキーを作っていたという。
しかし小津監督は昭和10年までサイレントを撮っていた。
当時の小津組のキャメラマン茂原英雄が開発中だった茂原式トーキーが完成するのを待っていたからである。
小津監督はそんな点で義理がたい性格だった。
ということで、この映画では最初にどどーんと晴れがましく「茂原システム」という文字が出てくる。
ちなみに茂原キャメラマンは、この映画で母親役を演じた飯田蝶子の夫だそうだ。

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Nov 24, 2004

爆笑ハードボイルド

古 傷

古 傷
東直己 2004年 光文社(光文社文庫)

いや笑った笑った。

『古傷』は、短編集『逆襲』(2001)で初登場した私立探偵・法間謙一を主人公に据えた初の長編となる。
「逆襲」が非常に面白かったので、続編を心待ちにしていた。
ついに出たよ!

この法間探偵、とにかく会った相手を褒めておだててヨイショしまくるという、前代未聞の幇間(ホウカン)探偵である。
超軽薄な男だが、探偵としての実力はしっかりと備えている。
ひたすら褒める探偵手法で爆笑させつつ、いつのまにか事件を解決へ導いていく驚くべきヒーロー。
短編の「逆襲」を読んだ際は、あまりの可笑しさにぜひシリーズ化してほしい、そして出来れば長編で読みたい、と強く思ったものだ。

ただし一面で、長編は無理かもしれない、というあきらめの気持ちもあった。
何しろ主人公のキャラクターが特異すぎる。
この主人公が長丁場で活躍するとなると、膨大な数のヨイショを
主人公に言わせ続けねばならないわけで、著者の負担は想像するに余りある。
かなりの難事業となるはず。

そこを、東氏、よくぞチャレンジして、完成させてくれた。それだけで感動なのである。
光文社文庫の書き下ろし。
少々字が大きく、薄めの本ではあるが、出ただけでも十分満足だ。

そしてもちろん内容もバッチリ面白かったのだった。
法間の超人的なお世辞の数々には笑わせてもらった。
ラストはほんの少し苦い味わいであった。
法間がなぜお世辞を言うのか、その理由らしきものがほんの少し垣間見えて、ちょっと共感を覚えたりもする。

東直己(Amazon.co.jp)

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Nov 23, 2004

笠智衆『大船日記』

大船日記―小津安二郎先生の思い出
笠智衆 1991 扶桑社

この本は、企画した人がえらい。
小津安二郎映画が好きで、笠智衆が好きなファンにとって、これほど望まれる本はない。
扶桑社の人、よくぞやってくれたと思う。

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Nov 21, 2004

晩春

晩春(1949年)

晩春 (ビデオ)

小津を語る」では、「東京物語」と並んで海外の映画監督たちから支持されていた。
ひとり娘を嫁に出す父の話である。
父役の笠智衆、娘役の原節子、ともにすばらしかった。

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Nov 18, 2004

小津と語る

「小津と語る」(1993年)

小津安二郎の生誕90年(没後30年)になる年に製作されたドキュメンタリー。
小津監督に影響を受けた海外の映画監督たちが、それぞれの小津映画に対する思いを語る。
40分の短いフィルム。

アキ・カウリスマキやヴィム・ヴェンダースが、動いて喋っているのを見ることができる。
それだけでも得したような気分だ。

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Nov 17, 2004

東京暮色

ひたすら暗い映画。
小津作品の中でも異色の一編らしいですね。

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Nov 13, 2004

びふか温泉

中川郡美深町紋穂内139森林公園びふかアイランド内
TEL 01656-2-2900

日帰り入浴 大人300円 小人150円
10:00頃〜21:00頃
(紹介しているサイトによって情報にバラツキがある)
年中無休 ? (月曜が定休日という情報もある)

のんびり行って旭川から2時間半くらい。

道の駅びふかを中心に、キャンプ場やスポーツ施設など、さまざまなレジャー施設が付近一帯に集合している。
総称して「びふかアイランド」と言うそうな。

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Nov 11, 2004

東京物語

初めて小津安二郎作品を観る。
こんなに古い映画を、果たして楽しめるのかと思っていたらとんでもなかった。
えらく感動した。

ゆったりとした間で、静かに、さりげなくドラマが進んでいく。
笠智衆と東山千栄子が演じる老夫妻は、口数が多くなく、ぽつり、ぽつりと語り合うだけ。
ふたりが何を思いどう感じているかは、多分に見る側で想像しなくてはならない。

観客は、それぞれが勝手な解釈で物語を理解するのではなかろうか。
この二人に絡めて、自らの両親や家族を想う人も多かろう。
説明が少ないから、いかようにも受け取り方がある映画だと思う。
それも小津監督のねらいではないか。

淡々とした表現なのに、心の奥に強く訴えかけてくる。
普段は考えもしないけども、改めて自分が日本人であることを強く意識したりする。
日本映画として世界に誇れる作品だと思う。
じっさい世界じゅうの映画を対象にしたランキングでも、ベスト10に入るほどの映画なのだ。
海外の映画監督にも影響を与えているようだ。

たとえばアキ・カウリスマキ。
今回「東京物語」を観て、アキ・カウリスマキは確かに小津映画の影響を受けているな、と納得した。
俳優に演技をさせないところとか似ている。
手塚治虫が自らのマンガを「記号」のようなものだと語ったように、小津やアキ・カウリスマキの映画も記号的だと言える。
無駄な装飾を限界まで削ぎ落とすこと。飾らないことが美しい、ということですかなあ。

東京物語
1953年 日本
監督 : 小津安二郎
脚本 : 小津安二郎 , 野田高梧
出演 : 笠智衆 , 東山千栄子 , 原節子 , 杉村春子

小津安二郎 DVD-BOX 第一集
小津安二郎 DVD-BOX 第一集

東京物語@映画生活
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Nov 04, 2004

アカデミー賞 グレイテスト モメント

アカデミー賞 グレイテスト モメント」(ビデオ)

71年から90年までのアカデミー賞受賞式の名場面集。
なかなか楽しめる。

一番のみどころは、普段は見ることのできないハリウッドスターの素の表情だ。
ダスティン・ホフマンって意外と神経質そうだな、とか。

いろいろに趣向を凝らしてくる、ホスト役の名場面も楽しい。
ジャック・レモンとウォルター・マッソーのコンビもやっている。
楽屋落ちでも、語り口に絶妙な間があって笑わせる。

ライザ・ミネリとマドンナのショーがあいだに入る。
ハリウッドだなあ、という感じ。華やか。

アカデミー賞 グレイテスト モメント
 1992年 アメリカ

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