初めて小津安二郎作品を観る。
こんなに古い映画を、果たして楽しめるのかと思っていたらとんでもなかった。
えらく感動した。
ゆったりとした間で、静かに、さりげなくドラマが進んでいく。
笠智衆と東山千栄子が演じる老夫妻は、口数が多くなく、ぽつり、ぽつりと語り合うだけ。
ふたりが何を思いどう感じているかは、多分に見る側で想像しなくてはならない。
観客は、それぞれが勝手な解釈で物語を理解するのではなかろうか。
この二人に絡めて、自らの両親や家族を想う人も多かろう。
説明が少ないから、いかようにも受け取り方がある映画だと思う。
それも小津監督のねらいではないか。
淡々とした表現なのに、心の奥に強く訴えかけてくる。
普段は考えもしないけども、改めて自分が日本人であることを強く意識したりする。
日本映画として世界に誇れる作品だと思う。
じっさい世界じゅうの映画を対象にしたランキングでも、ベスト10に入るほどの映画なのだ。
海外の映画監督にも影響を与えているようだ。
たとえばアキ・カウリスマキ。
今回「東京物語」を観て、アキ・カウリスマキは確かに小津映画の影響を受けているな、と納得した。
俳優に演技をさせないところとか似ている。
手塚治虫が自らのマンガを「記号」のようなものだと語ったように、小津やアキ・カウリスマキの映画も記号的だと言える。
無駄な装飾を限界まで削ぎ落とすこと。飾らないことが美しい、ということですかなあ。
東京物語
1953年 日本
監督 : 小津安二郎
脚本 : 小津安二郎 , 野田高梧
出演 : 笠智衆 , 東山千栄子 , 原節子 , 杉村春子

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