
竹本健治 2004年 東京創元社 (創元推理文庫)
この人は天才です。
大好きな作家。
竹本健治と言えば、突出した傑作「匣の中の失楽」が有名。
これが二十歳そこそこで書かれたデビュー作だというからすごい。
「アンチミステリ」と言われる、ミステリであってミステリでないような、
とにかく規格はずれの小説だ。
更に、「ウロボロスの偽書」という怪作もある。
実在の作家が多数登場する。
やはりミステリの枠に収まらない、メタミステリというのか、
まあ人を喰ったような小説。
そんな天上人竹本健治が、ちょっとした気まぐれで、
あえて地上レベルまで降りてきて、イッパンジンでも理解できる
シンプルな娯楽作品を書いた。
それがこの「囲碁殺人事件」に始まる「ゲーム三部作」なのだと、
ワタシは勝手に思っている。
大げさですね。
この作品は最初CBSソニー出版から出て、河出書房新社から文庫が出て、
角川文庫で出て、更に今年の2月に創元推理文庫に収録された、と
いうことになるのか。
この堂々たる発行遍歴。もう古典と言っても過言でない。
角川文庫は持っているが、河出文庫は見たことがない。
角川では、どうも「将棋殺人事件」が先に刊行されて、
次に「囲碁」、「トランプ」と続いたらしい。
私もこの順序で読んだが、実は発表された順序とは違うようだ。
本来「囲碁」が三部作の最初である。
このあたり、どういう理由でそうなったのか。
囲碁より将棋の方が世間一般に浸透しているからかな?
今回の創元推理文庫では有栖川有栖が解説を書いていて、面白く読んだ。
アリス氏は他人を解説する方が小説書くよりうまいのではないか、と言ったら怒られますね。
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・囲碁殺人事件