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2004年2月16日 (月)

[本] 三位一体の神話 (大西巨人)

大西巨人「三位一体の神話」(1993年、光文社)

ある作家がある作家を殺す話である。
加害者ははじめから明らかなので、探偵役の人物(たち)が
どのようにして加害者を追い詰めるかを追う、いわゆる
倒叙ものの推理小説。

だがしかし、そういった推理小説としての読みどころは、
実はどうでもよい。
一番おもしろいのは、加害者と被害者、両方の登場人物に
モデルがいる(と言われている)ところ。

被害者のモデルは明らかに大西巨人本人だ。
作中被害者の小説や評論が多く引用されるが、その小説のひとつが
「聖茶番」というタイトルだったりすることからもよくわかる。

そして加害者のモデルは、井上光晴だと言われているようだ。
へえー。

 もしも作家が、その憤怒または憎悪の普遍性を確信し得て制作の場に上がったならば、たとえ彼作家がAを原形(の一つ)として否定的作中人物Xを拵えて筆誅を加えたにしても、その作家における活動作因ないし活動主体は、もはや決して「Aにたいする私的・個人的な怨恨」の類ではあり(得)ません。

 これが文学創造の根本義だ、と私は、固く信じます。(上巻p103-104)

これがすべて。
加害者の描かれ方はかなり厳しくて、「否定的」なんてくらいでは
済まないほどひどい。
いったい著者は、井上光晴に対してどんな「憤怒または憎悪」を
持っていたのか・・・。
これだけ徹底的に「筆誅」を加えることができたら、
気分がいいだろうな。

下記のサイトも参考になりました。
関心空間:三位一体の神話

P0216.jpg P0217.jpg

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